2011年3月11日生まれ 15時13分生まれ
福島県 二本松市 川口 陽生
福島市内の病院で、陣痛の最中に地震は起きた。母・川口由紀子さんは、慌てて陣痛室から病院の駐車場に避難した。駐車場のクルマのシートを倒し、布団を敷いて、急作りの分娩室ができあがった。助産師さんが、タオルを、病院まで戻って探してきてくれた。「先生や助産師さんが落ち着いていて、ほんとうに助けられた」と、由紀子さんは振り返る。お湯はなく、沐浴はできなかった。生まれた時刻を忘れないように、と、助産師さんが、マジックで陽生くんの足に時刻を書いてくれた。この日、たくさんの方が亡くなったので、生まれてきてくれてありがとうという気持ちを込めて、名前には、「生きる」という字を入れたかったという。